<サブロク未満写真館・番外編>
我が家にトロッコが
 やってきた。


   

いまさら云うことでもないが、鉄道というのは、ほんらいの姿が社会資産で
あるがゆえに、個人がおいそれと所有できるものではない。それだけに
自分の車輛なり線路なりを持つことは、鉄道好きの叶わぬ夢、といってもよかった。
しかしここへきて、極めてミニマムなものとはいえ、かつてないハードルの低さで
“自分の鉄道”を手に入れられる時代がやってきた…らしい??

せっかくの機会だから、それをささやかながらも実践してみよう、と思い立った。
とりあえず私の手許に届いたのは、1台のトロッコと僅か3.3mの軌条。
この先どういうことになるのか、手に入れた本人にもよくわからない(^^;)という
しまりの無さはさておいて、まずはその搬入の顛末をご開陳とまいろう。


▲▼問題の?『ラピタ』とその記事。

トの起こりは、小学館『ラピタ』の2000年9月号(No.57)に掲載された一本の記事である。
 それには、同誌の表紙画を手がけているイラストレーター・日暮修一氏のアトリエの庭にトロッコの線路を敷き回し、そこで男たちが全開になってトロッコ遊び(!)に興じているさまが面白おかしく綴られているのだが、その副題は“その気になれば誰にでも買えるトロッコ”そう、この記事のねらいは、そのトロッコと線路がれっきとした“商品”であることのプロモーションに他ならないのだった。

 誌面で紹介されていたのは、インサイドフレーム式ハコトロの完成品、そして6kgレールと枕木をボルト留めによって組み上げるキット形式の線路。ゲージは、英国のロムニー鉄道が採用していることで知られる381mm(15インチ)を採用、線路は2,250mm長及び1,100mm長の直線とカーブ2本組の3種類をラインナップ…という触れ込みである。

 仕掛人は、『けいてつ協會』の名のもとに、保存鉄道のコンサルティングや鉄道書の執筆などを行っている岡本憲之氏。じつをいうと私のかねてよりの知り合いでもあり、「いずれ自家用トロッコを商品化する」という話は前に直接ご本人の口から聞いてはいた。それゆえ、この記事には「ウォっ!ついにやりやがったな(笑)」と危うく本屋の店内で口走りそうになったのはいうまでもない。
 とはいいつつも、普段は大抵立ち読みですませているラピタをムンズとひっつかんでレジに走り、その後数日間にわたって脳内で下らない思惑と皮算用がぐるぐると駆け巡ったあげく、しまいには岡本氏に申込のメールを打電していた私なのであった。オーダーは、「ハコなしの平トロ1台と、線路3m!」


…そして、待ちに待った搬入の日がやってきた(^^) 


さて、購入を申し込んでから1年余りの月日が過ぎ去った。
 その間、岡本氏とは何度か連絡をとる機会はあったが、じつはラピタの誌面で紹介された品(とくにトロッコ)が試作的要素の強いものであり、その後の製品の煮詰めなどにいろいろと試行錯誤があったのが時間のかかった理由であるようだ。
 そして昨年末のある日、岡本氏から「ようやく納得のいくカタチになったので見て欲しい」と一通のメールが届く。添付された画像に写っていたのは、ラピタの記事のそれとは打って変わって、アウトサイドフレーム式に改められ、木部も無塗装のままという、むしろ私の好みに合った姿に変貌した平トロであった。
 皮肉にも、自分自身は結婚して狭いアパート住まいになってしまい、とても自宅にトロッコを持ち込める環境ではなくなってしまっていたが、幸い実家の庭に置くことは可能なので、実家を納品先に指定し、搬入の日を迎えることになる。

  

▲左:とある寒空の日曜の午後、実家にて人夫兼ヤジ馬(?)として呼びつけた友人2名とともに、納品にやってきた岡本氏を出迎える。ブツはハイエース級のライトバンにでも積んでくるのかと思いきや、やってきたクルマは氏の愛車スプリンター・カリブ。裏を返せば、このトロッコは小型のワゴンにも積めることがのっけから証明されているわけで、これならウチのBXに積んでお出かけも夜逃げもオッケー!とくらぁ(笑)
▲中:…おい、お前ら!降ろした途端に台車に乗っかって記念写真なんか撮らないでください(藁)
▲右:トロとは違って、線路と枕木はキット状態なので、ともあれ組み立てにかかる。長さたった1.1mとはいえ、ホンモノのレールは案外重たい。手には軍手を嵌めて、扱いは慎重に…



 今回購入したセットの内容。

▲トロッコその名も『トロ2型』。最もシンプルな“平トロ”のスタイルのツボを
的確に押さえた佳品に仕上がっている。軸受と車輪は鋳鋼製で、
今も実物のトロッコの車輪を作っている鉄工メーカーが手がけた本格派。
木部の仕上げも丁寧。ホゾ組みの台枠がうれしいではないか。木部はいっけん
無塗装に見えるが、実際には防腐のため表面に樹脂加工が施されている。
なお、岡本氏によれば、このトロも厳密には“950番代”なので
今後の製品にはさらに若干の変更がありうる、とのこと。

★トロの主要部寸法は以下の通り(実測値)
台枠全長1,040mm/台枠全幅605mm/天板部全幅700mm/軸距400mm/車輪径φ200
 
 
 

▲線路:1.1mレールと枕木が各6本。レールは実用最小の6kg/m。
レールの固定はスパイクではなく、扱い易さを考慮してボルト留めを採用している。
枕木はガーデニング用木工製品によくある緑色系の防腐剤が含浸されているが、
今後の製品では実物の鉄道同様のクレオソート仕上げも検討中だそうだ。



▲枕木のボルトの締め付けにはソケットレンチが必要なので、あらかじめ用意しておく必要あり。
ホームセンターやカー用品店に行けば気軽に買えるものなのでそう焦る必要はないが。


▲線路はとりあえず駐車場の隅に仮置きすることにした。軌匡状にした線路を仮締結。
なお、フィッシュプレートのネジ頭の向きは、写真の通り線路の内側にするのが正しい。
逆だと、車輛の通過時にボルトがフランジに干渉してしまうからである。


▲いちおう線路も敷けたし、ということで、ヨッコラショとトロッコをレールに載せる。

 

たった3.3mの線路。物足りないといえば物足りないが、
これだけの線路でも、トロッコをゴロリと押して動かす瞬間は
こたえられないものがあります。自分の家(といっても、普段居るわけではない
実家なんでチト語弊があるが)に居ながらにして、ホンモノの線路の感触を確かめられる
喜びが手に入っただけでも、買った甲斐があったというもの(^^)。
この“わが鉄道”、今後どうやって発展させていくかは目下思案中ですが、折りに触れて
ご紹介する機会もあるかと思いますので、期待せずに?お待ち下さい<(_ _)>。

ちなみに気になるお値段は、この平トロ1台で179,000円也
ありていにいえば初任給並み(天賞堂の16番の蒸機並みとか
M6のレモン社平行ボディ並みって喩えもある???)ですが、
これをどう取るかは貴方しだい…です(^^;)。


 


写真すべて 2002.2.17・2.23/Fuji Finepix 40i

★市販自家用トロッコに関する問合先:『せんろ商會』 岡本憲之氏

参考我が国における
自家用15inゲージ鉄道の雄・『桜谷軽便鉄道』


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